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  • キャンパー井上

リボーン。


いつ以来だろう。

ジムに来るのは。

いつ以来だろう。

壁を登るのは。

いつ以来だろう。

ブログを書くのは。

『のぼる』とキーボードを打っても、先に『上る』が先に変換で出てくる。

あの持ちにくいのっぺりとしたホールドの名前はなんだっただろう。

スローパーという言葉さえ出てこなくなっていた。

それ程クライミングに関わらない6か月を過ごしてきた。

無論久しぶりのジムは楽しかったが、それ以上に術後の足に不安を感じた。

乗り込むことと左ヒールが痛い。

そして何より怖い。

僕以上に僕の足は、あの時のトラウマを鮮明に覚えているようだった。

ジムで四回ほど登った。

幸い体は登り方を覚えていた。

だが思っているムーヴをおこす筋力と指力がない。

一時間程度でも3日間筋肉痛が残った。

そんな現状。

けど復活第一幕は、怪我で迷惑をかけたこのメンバーと決めていた。

みおさん、とーまさん、まさきさん、みなまいみゆきのんべぇ三姉妹。

このメンツで魅惑の高知へ。

すっかり早起きを忘れた体を叩き起こした。

集合は6:30に難波ビックカメラ。

湊町を出発し、淡路に向けて走り出した。

明石海峡大橋を中心に一面に広がる雲。

強風で煽られるハンドル。

一つ一つの光景と現象に懐かしさがあった。

二回の休憩をはさみ、五時間かけてたどり着いたのは例の岩。

『松風』一級。

圧巻の風景に心躍るみんなの表情。

それだけで酒が飲めそうだ。

全ての課題をみんなで撃つことにした。

アップに『フエコフェイス』十級。

フエコとはスペイン語でくぼみという意味らしい。

お次は隣の『渚のヒールフック』四級。

ちょうどいい感じのアップができた。

鋭い眼光でホールドを狙うまさきさん。

こちらも無事みんな完登。

別のグループ三名様追加で、メインの面で遊ぶ事に。

トポを確認して『松じゅん』五級。

みおさんと登るのもかなり久しぶりだ。

高さだけで言ったらリハビリクライミングではない。

手は幸い良かったので非日常的な高さを存分に楽しんだ。

この時に来られた別グループの三人は『松風』一級を。

各々課題を撃ってのんびりした。

気温が心地いいが、風がかなり強い。

そんな中各々昼食。

僕はカレー飯からの芋虫。

カップ麺を食べるだけでも絵になるロケーション。

手押し相撲をするだけでも絵になるロケーション。

アウトドアの気持ちよさ。

改めて噛みしめている時に事件があった。

別グループのお姉さんが核心の部分で落ち、立ち上がらない。

見に行くと、貫通はしていないが、皮膚から骨が飛び出している。

すぐに救急車に運ばれていった。

マットの上に落ちていてもこのような事はある。

自然相手の中で絶対に安全なんてことはない。

ましてやハイボル。

明日は我が身。

自分の大怪我を思い出した。

身が引き締めつつ、みんなの松風・廊下トライを見守った。

まいこさん『松のカンテ』五級。

そして本日のMVPはとーまズ松風。

初めは絶望といっていたがあるタイミングでコツをつかんだよう。

その瞬間で僕なら激撃ちする所だが、流石はとーまさん。

少し休憩して軽く温めて、安定してゲット。

自分のコントロールのさせ方を知っておられる。

僕も『松のジャンプ』四級。

しかし飛ぶ事は出来なかった。

六か月で僕の頭のネジは締まってしまったようだ。

本当に最高のエンクラだった。

晩飯は台湾料理【福将】で。

台湾料理にありがちな爆量だったものの、美味だった。

お酒を買って、お宿は民宿【とうの浜】

お遍路さん泊まる民宿だ。

部屋は大きく、お風呂は二つ。

宴会スタート。

そして明日はとーまさんの誕生日。

松風完登が華を添える。

サプライズケーキも決まって祝杯。

僕は久々のアウトドアに疲れていたようだ。

一番登っていないにもかかわらず、宴会後半の記憶はほぼない。

でもまぁそれもいつもの事。

飲み会終わり。

呑兵衛三姉妹が女子部屋で延長戦を繰り広げたことを知るのは次の日の事である。


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