この日は新しい扉を少し開いた。
メンバーは前回と同じで、Tさん、コージさん、あきさん。
アイスクライミングに誘ってもらった。
あきさんと少しでも高さに慣れたいと、最近ジムに一緒に練習に行っていた。
ダンサーはしなやかさが違う。
登り方は全く分からなくても、身体能力と柔軟さは素人ではないので、五級でも落としてくる。
あきさんは問題なさそうだ。
僕は埃をかぶっていたハーネスを引っ張り出し、オートビレイで少し練習して当日を迎えた。
この日は、6:00に役場前駐車場に集合。
時間を勘違いしており、4:00にあきさんピックアップの6:30着。
天気も良く風もないがかなり肌寒い。
下は、ヒートテック二枚にクライミングパンツ、レインウェア。
上はヒートテック、半袖、パーカー、ウルトラライトダウン。
僕には珍しく重装備で臨んだ。
まるで夕陽のような朝日に迎えられて出発。
前日の豊田での疲れは、心地よい程度に背中に来ていた。
空気の透明度が雪景色に拍車をかける。
いつも以上の重みは背中に取り付けたアックスだ。
うまく使えるかも分からない。
登り始めるとやはり暑くなってくる。
ウルトラライトダウンはすぐ脱いだ。
相変わらずTさんの足取りは軽い。
ウォーミングアップでもう疲れてしまう。
前日に卸したスノーシューズと12本爪アイゼン。
即決しすぎた事がどう出るだろうか。
二時間ほど歩いてアイスのエリアに着いた。
クライマー以外立ち入るべからず。
ここからは急斜面でアックスを使った。
Tさんが踏み固めてくれる場所を使うがかなり疲れる。
ヒラメ筋へのダメージがひどい。
休憩しつつ目的地へ着。
そのからのTさんとコージさんの準備はとてつもなく早かった。
大量のカラビナとハーネスをアイゼンをしたままあっさりつけた。
僕とあきさんは支点の設置を二人でまった。
二人ともアックスでどんどん上がっていく。
上部で何か作業をしている時に風が強くなってきた。
ここからは寒さとの戦い。
今までに感じたことのない寒さだった。
外気でペットボトルの飲み物は凍り付き、スノボー用の手袋でさえ中の指の感覚がなくなった。
結局僕は心が折れてしまい、二人のアイスクライミングを見守って終わった。
薦めてくれたが全く出来なかった自分がふがいない。
先に離脱し、空きさんと頂上を目指した。
ロープウェイの到着地点だ。
合っているのかわからない道を心配しながら進むと、ルンゼが見えてきた。
驚くことに三十人ほどのアイスクライマーがいる。
みんなワイワイ楽しそうに登っていた。
僕も低い氷で少しアックスで登って遊んだ。
氷に叩きつける感覚はアイスクライミングならではで楽しい。
そして頂上のアゼリアで4人合流しカレーうどん。
写真も撮ってフィニッシュ。
12本爪アイゼンは終始苦手だった。
たまに露出している岩の上を歩く時の罪悪感が大きい。
慣れるのだろうか。
このチッピング感。