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  • キャンパー井上

妻帯者はちがうぜ。


今日は東の河原ハイグレードエリアへ。

メンバーは、やんやんさん、平野さん、石田君。

久々の滋賀で、ハイテンションの車中。

二時間半で現地入り。

一度来たことのあるエリアだが、一つテンションの上がらないことがある。

ここのアプローチは今までで一番過酷だ。

今年はエスカレーターがつけられているであろうという願いは届かなかった。

相変わらず動物しか歩けないであろう道を降りた。

まず触ったのは『ギロン』初段。

去年敗退した課題だ。

だが去年と違う点があった。

ランディングに岩がある(笑)

二年前の動画はシットダウンだったとは思えないエグれ様。

来年は地ジャンになっているかもしれない。

石田君がさくっとかなりの高度まで出してくる。

後に続きたかったが、前回から取れなかった二手目が取れない。

平野さんとこなしていると、右の一手目がなじんできて、右足スタンスにしっかり乗ると止まった。

左手も思っているより高い位置を取りにいくことが重要。

そうすれば、ヒールが効いたまま左手を送ることができる。

ここでは必ず右手薬指にテーピングを忘れないようにしたい。

やんやんさんは、上部のランジがメンタル的にできないとのことで、スポットとブラッシングに徹していた。

守るべきもの。

背負っているもの。

人はそれぞれ大事なものを持っている。

パパはやはり背負うものが違う。

そうこうしていると石田君が発射位置までムーヴをこなした。

発射に選んだのは左手。

石田君はそのままかなり激しく回転し、後ろの大岩の斜面に吹き飛んだ。

僕もそこに行きたいと気持ちがはやり、左手取りが雑になり激しく背中から落ちた。

平野さんは落ちる時ちゃんと下を確認して降りた。

「やっぱ妻帯者はちがうぜぇー。」

やんやんさんの声が心に響いた。

やんやんさんは、奥さんと子供を背負っている。

平野さんは、奥さんを背負っている。

僕と石田君は、せいぜいマットしか背負っていない。

マット以外も背負いたいものだ(笑)

結局石田君が最高高度でこの課題は全員敗退。

気持ちを切り替え、次に触ったのは『ナムリス』初段。

スラブからリップを叩き、直角に突き出たリップを取ってマントルを返す課題だ。

おのおの自分のムーヴを探した。

僕はクロスで右のアンダーを親指でねじ込み、アンダーカチにし、左手をなるいホールド手前のカチを取るムーヴに落ち着いた。

この時の親指が強烈に刺さる。

しかし地獄はここからだった。

左を取ってから足の入れ替えがかなりの恐怖だった。

ごまかすために叫んだ。

足の入れ替えのためにシャウトする奴はおそらくいないだろう(笑)

結局高度は、ここが最高点。

右手のロックのせいでうまくリップへ飛べない。

次回には早めにムーヴを固めたい。

お昼は登山用に買って余っていたドライカレー。

時間はかかるがなかなかおいしい。

お湯の量でカレーにもリゾットにもできる。

次回はリゾットを試そう。

ナムリスを触り終え、『ゼットン』初段に移動した。

この時点が最も気温が高く、皆が自由時間を過ごした。

夏の河原ボルダーの過ごし方は大事だと、この後思い知らされることをこの時の僕は知らない。

ナムリスで仮眠を取っていた石田君は、僕とゼットンを。

平野さんは、移動すれば日陰もあるのに、なぜか灼熱の太陽を浴びながらも心地よさそうに寝ていた(笑)

やんやんさんも撃ちたがっていたが強く我慢し、水遊び。

僕は我慢できずバカ撃ちでばらしにかかる。

これが大失敗だった。

ゼットンは、初手ができず二手目三手目のパート練習。

そんなこんなでよれてしまい、寝ることにした。

そして日が山に隠れた瞬間、みんなをたたき起こし、体もたたき起こして取りついた。

そのワントライ目、初手が止まった。

フリクションが段違いだった。

石田君は寝起き後、ワントライ目で流血騒動。

平野さんは、ギロンのフリクションが今良いよとの報告を、謎のタイミングで僕にした後、ナムリスのパート練習。

そして長期強制レスト後のやんやんさんの猛追には目を見張るものがあった。

上部をサクッと確認して、ムーヴが決まってから三回目ぐらいの集中トライで決め。

しかも僕が昼の熱い時間にバラしたパートをすっ飛ばすムーヴだった。

昼で体力を吸われ切った僕には出せない強度だった。

結局やんやんさん以外の三人は敗退。

熱い時間の過ごし方が勝敗の決め手だった。

やはり。

妻帯者はちがうぜ。


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