- キャンパー井上
ランジする女。
ロカのだんさんにラインを送った。
今週の道場破りに見知らぬ女が井上と書かれたのカードを出してくるのでどうか騒がないでほしい。
着いた瞬間笑いを隠すようにだんさんはマスクを深く付け直した。
今回はロカメンに披露するのが目的。
正体を知っているロカ女達に加え、ロカメンとカイのつよいメンズ達がいた。
誰にも話しかけられないように気を付けながらアップを済ませた。

ほどなくして道場破りが始まった。
初めの二本は無事にゲット。
つよっ!!
普段男の状態で言ってもらえないので新鮮だ。
三本目はばやしさんの課題だった。
一度目のトライはゴール取りで落ちた。
ばやしさんが『これいけるやつなんで!』と声をかけてきた。
しゃべれない為、できうる限り女性らしくうなずいた。
ここら辺までは順調だったのだろう。
コンシーラーを使っているとはいえ、上を向くと見えてしまう若干の髭の色。
見えないようになるべく体育座りで待機する。
隣に座られると話しかけられそうですぐさま移動する。
つけ慣れていないせいかどんどん上がってくるスポブラを調節する。
圧倒的にメンズな手の甲を隠すように、ワールドカップ選手ばりにチョークをつける。
パンツが見えないように気を使う。
気にすることが多すぎて目眩がしてくる。
そのせいで最も重要なことを怠ってしまった。

登り方だ。
長年の癖は治らない。
結果、とーやまさんとばやしさんにはバレていた。
とーやまさんは僕であることにすら気づいていた。
5課題目。
何人も止められていなかったランジを一発で止めたのが明らかに女の子ではなかった。

ばやしさんは、やばい男がいるなぁと。
とーやまさんは、こんなイカれたことするのはキャンぐらいだろうと。
ただ声をかけるメンタルはなかったようだ。

石川さん、オーガさんはただただ強い女がいるなぁと。
パーフェクトとはいかなかったがスリル満点の時間だった。
さぁ次はどこにいこうか。